遺言執行について
CASE.3遺言執行について
遺言の執行とは
遺言で定められた事項には、それを実現するために何らかの行為をする必要がないものと、それを実現するために何らかの行為が必要なものとがあります。
この、遺言を実現するために何らかの行為をしなければならない事項について、それを実現する行為を遺言の執行と言います。
遺言執行が必要となる場合について
例えば、遺言によって不動産が遺贈されたケースでは、確かに所有権移転の効果自体は遺贈の効力発生時に生じますが、所有権の取得を第三者にも主張できるようにするためには不動産の移転登記を行う必要があります。
また、遺言で子を認知したような場合も、認知の効力自体は遺言の効力発生時に生じますが、戸籍の届出が必要となるため、認知の効力を完全に実現するためには、戸籍の届出という遺言の執行が必要となります。
遺言執行者の選任
上記のとおり、遺言を実現するためには何らかの行為が必要となる事項がありますが、相続人らが、被相続人の意思に沿って遺言の執行をしてくれるかは、遺言作成時には分かりません。
そこで、自己の遺言をより確実に実現してもらえるように、被相続人は、遺言の中で遺言執行者を指定することができます。
遺言執行者が指定されている場合には、相続が開始すると、その遺言執行者が遺言の執行を行うことになります。
遺言執行者の解任
遺言で定められた遺言執行者が不適切な行動を取った場合には、遺言執行者の解任を求めることができます。
遺言執行者が解任されるのは、遺言執行者が任務を怠った場合や、解任について正当な理由がある場合等になります。
遺言執行者が任務を怠った場合とは、遺言執行者がその任務に違反した行為をした場合や、任務を放置し実行しない場合等をいい、例えば、遺言執行者が相続人に対して、正当な理由もなく財産目録の交付を怠ったケースや、相続人からの請求にもかかわらず実務処理状況の報告を行ったケース、相続財産の保管、管理に問題があるケース等が典型的な事例となります。
一方、解任について正当な理由がある場合とは、任務懈怠の場合と同様、遺言執行者に適正な遺言の執行を期待できない場合をいい、単に感情的な対立があるだけでなく、遺言執行者が特定の相続人の利益を図り、公正な遺言の執行が期待できないケース等が典型的な事例となります。